FIFA Confederations Cup観戦

南ア・サッカー・ワールドカップを安全且つ快適に観戦するための参考情報
(コンフェデ杯の経験から)

2009年6月14日から28日まで南アフリカにて行われたFIFA Confederations Cup(以下「コンフェデ杯」)をプレトリア及びヨハネスブルクのスタジアムで観戦した当館館員が取り纏めた注意事項は以下のとおりです。コンフェデ杯は交通面、宿泊面、治安面等あらゆる意味からもワールドカップのリハーサルとして、南アフリカでは捉えられており、2010年のワールドカップのロジがどのように行われるかをイメージするための参考情報として提供させていただきますが、外務省、在南アフリカ大使館の公式見解ではありません。

基本情報

コンフェデ杯では、ヨハネスブルグ、プレトリア、ラステンバーグ、ブルームフォンテーンの4都市にて8チームが参加し、合計16試合が行われた。外国から来訪する観客数に至っては、コンフェデ杯では2万人程度であったと言われている。これに対して、2010年のワールドカップでは、32チームが参加し、6月11日から7月11日の31日間に8州9都市、10スタジアムで合計64試合を開催する。外国から来訪する観客数も485,000人見込まれており、コンフェデ杯と比較すると規模が全く異なる点に留意が必要である。

スタジアムまでの交通手段

  • コンフェデ杯においては、空港からヨハネスブルクの主要箇所を結ぶ「ハウトレイン」が建設中であったこと、新しい高速バス・システムの導入も遅れていることから、スタジアムまでのアクセス方法として、「パーク・アンド・ライド」と「パーク・アンド・ウォーク」というシステムが採用された。

  • 「パーク・アンド・ライド」は、競技場の指定駐車場(5キロから10キロ離れる場合もあり)にて自家用車などを駐車し、競技場まで無料シャトルバスに乗り換えるシステムである。「パーク・アンド・ウォーク」は競技場から2キロ程度の指定駐車場から徒歩にて競技場まで移動する方法である。

  • 「パーク・アンド・ライド」については、当初批判の声があがった。通常は30分で競技場まで移動出来るところ、乗り換えの順番待ちにより3時間かかる場合もあった。また、指定駐車場のうち、人気の高い駐車場が満杯になったあとも、知らないで次から次へと車両が押し寄せ交通渋滞となった。どの「パーク・アンド・ライド」を活用するかにより、混雑状況にばらつきが見られたようである。往路は早めに会場に到着すれば良い(主催者は2時間前までに試合場に到着するよう求めた)が、帰路は観客が一斉に駐車場行きシャトルバスに殺到するため、競技場から指定駐車場に到着するまで2~3時間要する場合もあったため注意が必要であった。

  • 他方、「パーク・アンド・ライド」を無視して、競技場まで自家用車での接近を試みると、降車してから危険な地域を含め徒歩で移動するリスクを負わねばならないため注意を要した。

  • 「パーク・アンド・ライド」では、係員の指示に従い自家用車を駐車し、待機しているミニバス若しくはバスに乗車して、スタジアムに向かう。先頭にあるミニバス若しくはバスが満席になると出発する。乗車の際には、係員が「パーク・アンド・ライド」の案内を乗客に配布し、帰路の説明をする。試合後は、降車したバス停から乗車し、目的の「パーク・アンド・ライド」に戻る。乗車するバス停を間違えると、全く別の「パーク・アンド・ライド」に向かうこととなるため、目的の「パーク・アンド・ライド」に向かうか十分確認する必要がある。各「パーク・アンド・ライド」は色分けされ、ミニバス及びバスの前に該当の「パーク・アンド・ライド」の色が表示されている(目的の「パーク・アンド・ライド」が何色かについては係員が配布する案内で確認する必要がある)。

  • 「パーク・アンド・ライド」及び「パーク・アンド・ウォーク」いずれを使うにせよ、指定駐車場までの安全な移動手段を事前に確保しておくことが必須である(自家用車、レンタカー、ホテル手配のバス等)。

  • 「パーク・アンド・ウォーク」を使用する場合には、重点警備地域以外を歩かないことが重要である。また、徒歩で移動中の際には、盛り場には近づかないよう注意する必要がある(試合後の事件の多くは盛り場で発生)。

宿泊施設

コンフェデ杯は、4都市にて8チームが合計16試合を実施するというワールドカップと比較して規模的に小さいものであったため、宿泊施設の数に関しては大きな問題はなかった。南アフリカ滞在中にブラッターFIFA会長は、特にブルームフォンテンでの宿泊施設数が不足している旨指摘したため、現在南アフリカのワールドカップ事務局は、「Match Hospitality」社に委託し、国内外における宿泊施設の確保を進めている。2010年のワールドカップを観戦するにあたっては、宿泊施設の事前確保は必須である。

治安

スタジアム周辺には、警官が配置されると同時に交通規制を敷いていたため、駐車場からスタジアムまでの区間の安全は確保されていた。南アフリカ警察は、コンフェデ杯期間中に4万人の警官を動員して警戒にあたったところ、深刻な事件は発生しなかったと発表。南ア警察によると、コンフェデ杯期間中には、スタジアム周辺で39件の軽犯罪が発生、その多くは観客がスタジアムに出入りする間に携帯電話等の盗難で、強盗事件は5件あった。また、警官は、各スタジアムの所在するホストシティごとに約6,000名から8,000名配置し、南ア軍も緊急事態に備えてスタンバイ体制をとり、各試合会場内には、FIFAの雇用した警備会社が警備にあたった。

スタジアム

スタジアムに入場するにあたり、セキュリティー・ゲートが2カ所設置され、入場の際の安全確保にあたった。各セキュリティー・ゲートには、多くの警官が配置され、バッグ等を調べるなど、危険物の持ち込みには特に慎重であった。スタジアム内には、ボランティアの係員がいたるところに配置され、目的の場所を説明するなど、会場内の案内等については大きな問題は見られなかった。

気候

2010年のワールドカップも、南アフリカにおける冬の季節に行われるため、防寒対策は必須である。この時期の南アフリカでは、朝夜は冷え込み、零度近くになるため、特に20時半開始の試合の観戦には、ダウン・ジャケット、マフラーや毛布等が重宝された。会場内では、コーヒー等のホット・ドリンクも販売されているが、販売店は大変混雑していた。但し、水筒を持参してもセキュリティー・ゲートのチェックで没収されたケースもあったため、留意する必要がある。

その他

南アフリカにおいて、コンフェデ杯は成功裏に終わったというのが大方の見方であるが、2010年のワールドカップに向けては、引き続き交通面、宿泊面での改善が求められている。

以上から次のような注意が必要と考えられます。

  • 片道30分の場所でも2時間前に到着する余裕が必要

  • (帰路は往路以上に時間がかかる)

  • 競技場ごとに設置されるパーク・アンド・ライドの指定駐車場の事前確認が必要

  • 指定駐車場以外の場所での降車、駐車は安全はない(警察の重点警備がない)

  • 指定駐車場までの安全な移動手段確保

  • (自家用車、レンタカー、ホテル手配のバスなど)

  • 夜間は5~10度まで冷え込むので防寒対策必須(セーター、ジャンパー)

  • 帰りは競技場周辺から指定駐車場へ出発するシャトルバスの出発場所を要確認

  • 競技場周辺から出発するシャトルバスの行き先(色分け表示)に要注意

  • パーク・アンド・ウォークの場合には近道を試さない(重点警備地域以外を歩かない)

  • 盛り場には近づかない(試合後の事件の多くは盛り場で発生)

  • 携帯電話は緊急時の連絡に有用(但し、路上使用は盗難の危険があり、要注意)

  • 食べ物・飲み物の持ち込みは会場入り口で没収される可能性がある

  • 集団での移動・観戦が望ましい