
2010年5月
在南ア日本大使館
4月29日~5月1日、岡田克也外務大臣が南アフリカを訪問し、ヌコアナ=マシャバネ国際関係・協力大臣との間で第10回日・南ア・パートナーシップ・フォーラムを開催しました。この結果、日本と南アとの関係を「戦略的協力関係」と位置づけ、両国のパートナーシップをさらに高い次元に高めてゆくことが合意されました(添付の共同プレス・ステートメント(英文と和文)参照)。日・南ア公的交流100周年の記念すべき年に、また、2010FIFAワールドカップ南ア大会を目前に控えたタイミングで行われた岡田外務大臣の南ア訪問は、両国関係にとり意義あるものとなりました。
日本の外務大臣の南ア訪問は、純粋に二国間ベースで行われるものとしては今回が初めてのものでした。日本はこれまで南アと緊密に協力し、TICADとNEPADとの連携、G8アウトリーチを通じたアフリカ支援の促進を推進して来ましたが、昨年発足したズマ政権との間では、政治レベルで協力関係を構築するという課題がありました。そのような中で、今般の岡田大臣の南ア訪問は、双方新政権の下で行う初めての政治レベルの政府間協議の機会となり、アフリカのリーダーで、かつ有力な新興国である南アとの関係を、「戦略的協力関係」に格上げしていくことを確認するという意義がありました。
二国間関係強化の柱となったのは経済関係でした。岡田大臣からは、官民一体での南アを含むアフリカ開発への貢献、インフラ事業への我が国企業の意欲と貢献につき積極的にアピールし、南ア側からは日本の一層の関与に対する強い期待が表明されました。
両国は、気候変動、国連安保理改革、核軍縮・不拡散、さらには人権問題やアフリカ問題も含め、両国が協力し、相互に支持しあうことを確認しました。先進国と途上国の二面性を内包する南アは、グローバル・ガバナンスに関わる課題への取り組みで調整役となることが多く、最近は「新興国」としての自意識や新興国間の連携も加わり、国力以上の力を発揮することがあり、この点も踏まえ、南アとの対話をレベルアップすることとしました。
両国間で1998年以来、閣僚レベルをトップとする二国間委員会の枠組みが設置されています。今回、両大臣を議長とする同フォーラムを開催したことにより(イ)技協協定の案文合意と年内署名方針確認、(ロ)円借セミナーの開催(6月2日予定)、(ハ)過去数年で10億ドル以上の実績のあるJBICローンの継続、(ニ)原子力協力協定の交渉開始、(ホ)地上デジタル・テレビにおける日伯方式(ISDB-T)による協力の提示、(へ)代替エネルギー・省エネ分野での協力可能性の確認、(ヘ)第4回科学技術合同委員会への優先分野確認、(ト)ズマ大統領訪日(日時未確定)時におけるビジネス対話の実施方針など、成果に厚み与えることとなりました。
4月27日にズマ大統領より「オリバー・タンボの友章」を受賞するため来訪された緒方JICA理事長には、岡田大臣日程のうち、日・南アパートナーシップ・フォーラムの総括セッションや、青年海外協力隊員との懇談会に出席して頂き、人材開発や円借など今後のJICAの貢献についても有意義な意見交換を行いました。緒方理事長の受賞理由は、長年のアパルトヘイト政策への反対、1991年のCODESA(民主南ア会議)への国連事務総長の名代としての参加のほか、その後の南アの国造りへのJICA理事長としての貢献についても指摘がありました。南ア政府からは、南ア国民に対し「尊敬できる日本人の姿」を示すことが出来て良かったとして感謝の意が表明されました。
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南ア・パートナーシップ・フォーラム | 岡田大臣とマシャバネ国際関係協力大臣 |
以 上