
今から100年前の1910年、日本政府は南アフリカにおいて日本及び日本人の地位を確保するとともに、対南ア貿易の促進を図るべく、ケープタウン在住のジュリアス・オットー・ジェッペ氏(Mr.Jullius Otto Jeppe)を日本国名誉領事に任命しました。
ジェッペ氏は主に貿易・海運事業を行う南ア在住のドイツ系英国人で、1910年から1918年までの間、ケープタウンのショートマーケット・ストリートに所在する事務所において日本国名誉領事を務めました。また、南アと日本の貿易拡大・友好関係増進に貢献し、南ア産の羊毛の対日輸出の先駆けとなった他、ケープ・ワインを極東に紹介したことでも知られています。1916年には大正天皇に拝謁し、金杯を受け取っています。
2010年は、ジェッペ氏の日本国名誉領事任命から100年目の年となり、日本と南アは記念すべき公的交流100周年を迎えます。
日本政府は、ジェッペ氏を名誉領事に任命後、1918年にアフリカ大陸初の日本の公館となる在ケープタウン領事館を設置しました。1916年には日本人の南米移民船東海岸航路(インド洋を下ってケープタウンで寄港し、大西洋へ出る航路)が定期便となり、1926年には神戸~ダーバン間に定期航路が開設されました。
南米への日本移民船が長い航海の途次ケープタウンに立ち寄る際には、移民者のために数日間の上陸が認められるなどの便宜が図られ、1932年、日本政府はケープタウン市への感謝の印として、日本の石灯籠を贈呈しました。同石灯籠は市の中心部に位置する南アフリカの最古の庭園「カンパニーズ・ガーデン」(南ア議会に隣接)に建立され現在に至っています。
1937年にプレトリアに公使館が設置された後、1942年には第二次大戦により外交関係が断絶しましたが、戦後、領事関係のみが再開され、1952年に在プレトリア総領事館、1964年に在ケープタウン出張駐在官事務所が設置されました。その後、アパルトヘイト制度を克服する民主化の進展を踏まえ、1992年1月に外交関係が再開され、同年2月にプレトリアに在南アフリカ大使館が開設されました。
1994年以降、日本からは森喜朗総理、小泉純一郎総理、川口順子外務大臣等が南アを訪問し、南アからはムベキ元大統領、ムランボ=ヌクカ元副大統領、ズマ元外務大臣、ファン・スカルクヴェイク環境・観光大臣等が訪日しています。また、過去に350名以上の南ア人が外国語指導助手(ALT)として日本の中学・高校に派遣され、本年7月末には新たに数十名の南アフリカの若者が英語指導のため訪日予定です。
ジェッペ氏の名誉領事就任から約1世紀が過ぎた今、2008年には、日本は南アにとって最大の輸出相手国となり、輸入では第4位の相手国となっています。両国政府は、日・南アパートナーシップの強化に努力しています。
日本と南アの公的交流100周年目にあたり、南アフリカ・サッカー・ワールドカップが開催される2010年は、両国国民が相手国に対する関心を飛躍的に向上させ、相互理解を深める絶好の機会であると考えています。地理的に遠く離れた日本と南アフリカですが、その距離を文化を通じて少しでも近づけることができたらとの思いから、大使館では様々な文化事業を実施する予定です(下記のイベントには調整中のものも含まれ、変更になる可能性があります)。
第16回日本映画祭(確定)
- 時期:
2月26日~28日 プレトリア・ブルックリンモール
3月6日~7日 ダーバン・ゲートウエイ・モール
3月13日~14日 ケープタウン・V&Aモール
3月18日~21日 ヨハネスブルグ・ローズバンク・モール- 作品:「命」「二人日和」「浮草」「菊次郎の夏」「リンダリンダリンダ」「温泉卓球」
- 入場:無料
平間充子聖徳大学講師による日本の伝統芸能(雅楽、能楽、文楽、歌舞伎) と歴史に関するビデオレクチャー(確定)
- 時期:
2月24日 プレトリア大学 19:00
2月26日 ケープタウン・ステレンボッシュ大学 15:00
3月1日 グラハムスタウン・ローズ大学 17:15
3月4日 ダーバン・クワズルナタール大学 16:00- 内容:日本から講師を招待し、歌舞伎等に関するDVD映像を用いて伝統芸能の発展・承継及び社会的背景について英語で講演を行います。
- 入場:無料
小川典子氏(ソロピアニスト)、篠崎靖男氏(指揮者)とクワズルナタール・フィルハーモニー・オーケストラのクラシックコンサート(確定)
- 時期:2月25日、3月4日 (※2月25日は篠崎氏のみ)
- 会場:ダーバン・シティ・ホール
- 内容:フィンランド及びロンドンから日本人指揮者・日本人ピアニストを招き、日本人作曲家等の楽曲を、南ア人オーケストラと演奏します。
- 曲目:リバーラン(武満徹作曲)、交響曲38番等
- 入場:チケットはオーケストラHP・Computicket等から購入できます
小川典子氏(ソロピアニスト)、篠崎靖男氏(指揮者)とヨハネスブルグ・フィルハーモニー・オーケストラのクラシックコンサート(確定)
- 時期:
3月10日 20:00
3月11日 20:00- 会場:ヨハネスブルグ・ヴィッツ大学内リンダー・オーディトリウム
- 内容:フィンランド及びロンドンから日本人指揮者・日本人ピアニストを招き、日本人作曲家・南ア人作曲家等の楽曲を、現地オーケストラと演奏します。
- 楽曲:南ア国歌、日本国家、リバーラン(武満徹作曲)、ヨハネスブルグ・オーベンチャー(ステファーソン作曲)等
- 入場:チケットはオーケストラHP・Computicket等から購入できます。
生け花・日本武道デモンストレーション(確定)
- 時期:
4月17日 10:00~(生け花)
14:00~(武道)- 場所:大使館多目的ホール
- 内容:生け花インターナショナル南ア支部の協力を得て、米国から生け花師範を招待し華道デモンストレーションを行います(約2時間の間に10~15点の作品を作る予定)。また、南ア在住の南ア人師範・生徒(3段~7段)による武道(柔道、剣道、空手、居合道、合気道、沖縄琉球古武術)デモンストレーションを実施します。
グラハムズタウン・ナショナル・アーツ・フェスティバルにおけるジャズ三味線公演及び日本映画上映
- 時期:6月20日(日)~7月4日(日)のうち約1週間
- 場所:グラハムズタウン(南ア南部の大学都市)
- 内容:南ア最大の国際芸術祭であるナショナル・アーツフェスティバルに、日本から公演団を招きパフォーマンスを行うとともに、日本映画を上映する予定です。日本の伝統音楽である三味線に南アフリカで人気の高いジャズバンド(ベース、ピアノ、ドラム等)を組み合わせた公演団を招待予定です。
本イベントは変更になる可能性があります。日本研究センター設立
- 時期:9月
- 場所:プレトリア大学Gordon Institute of Business Science (GIBS)(ヨハネスブルグ)
- 内容:プレトリア大学ビジネススクールに日本研究センターを設立し、日本研究・
情報発信の強化をはかります。桜100本の植樹
- 時期:未定(2010年後半)
- 内容:日本花の会の協力を得て、日・南ア交流100周年に因んで、日本の国花の一つである「桜」100本の植樹を南ア国内各地で実施します。
タイムカプセル事業
- 時期:未定(2010年後半)
- 内容:桜記念植樹対象地、当館が経協支援を行ったハウンテン州内の中学高校及びヨハネスブルグ日本人学校において、日・南ア関係の将来や自分の将来像について書いた手紙をタイムカプセル入れ地中に埋め、10年後(2020年)に開封するタイムカプセル事業を実施します。
プレトリア国立劇場における和太鼓・阿波踊り公演
- 期間:9月上旬
- 場所:プレトリア国立劇場
- 内容:南ア最大の劇場である国立劇場において、当地で人気の高い和太鼓団体等を日本から招きパフォーマンスを行う予定です。
本イベントは変更になる可能性があります。南アフリカ柔道連盟(JUDO SA)による大会・セミナー等
- 期間:9月~10月
- 場所:ヨハネスブルグ大学ソウェトキャンパス体育館
- 内容:会員1万人を超える南ア最大の日本武道団体、JUDO・SAが旧黒人居住区ソウェトにおいて、数百名規模の柔道セミナー・大会を開催します。
ポスターコンテスト
- 時期:未定(2010年後半)
- 場所:日本大使館多目的ホール
- 内容:地元の小中学高校を訪問し、日本紹介事業を実施するとともに、生徒に日・南ア関係をテーマにポスターを描かせ、コンテストを実施します。
オッペンハイマー家(デビアス社会長)日本庭園での茶道デモンストレーション
- 時期:10月15日
- 内容:ヨハネスブルグにあるオッペンハイマー家日本庭園の完成5周年にあたる2010年10月15日に、同庭園内にある茶室において政府要人等を招き茶道デモンストレーションを行います。
黒人居住区での日本映画上映会
- 時期:未定(2010年後半)
- 場所:ソウェト等黒人居住区の学校・体育館
- 内容:商業映画館で実施する日本映画際とは別に、これに参加する交通手段等を有さない層を対象として黒人居住区において日本映画上映会を実施します。
日本食紹介関連事業
- 時期:未定(2010年後半)
- 場所:フードイベント会場、大使館多目的ホール等
- 内容:農林水産省との共同事業である「WASHOKU-Try Japan’s Good Food 事業(2010年事業)」等を活用し、日本食や日本の農産品の紹介を実施する予定です。
上記のイベントには調整中のものも含まれ、変更になる可能性があります。
日南ア交流100周年の「100」をモチーフにし、2つの「0」の数字
の中に南ア国旗と日本国旗をイメージしたデザインになっています。
両国の国旗が入った「0」と「0」を重ね併せることにより、二国間の交流
を表しています。
「South Africa」及び「Japan」の文字を両方向の矢印でつなぎ、交流が一方
向ではなく両国相互のものであることを表しています。
「Japan」の文字の色は日本国旗の赤、「South Africa」の文字の色は南ア国
旗の色の一部(青)を選んでいます。
「Toward the Next 100 years」のキャッチフレーズには、「これからの100
年も引き続き両国の友好関係が続きますように」との願いが込められています。
在南アフリカ日本大使館 広報文化班 外川(とがわ)
電話:+27-(0)12-452-1500
Email:hiroyuki.togawa@mofa.go.jp