南ア日本商工会議所(CCIJ)からの南アフリカコミュニティへの貢献

2009年3月
在南アフリカ共和国日本大使館

 3月16日、CCIJの役員である加賀美三井物産ヨハネスブルグ支店長が、セント・フランシス・ケア・センターとオルランド・チルドレン・ホームを訪れ、CCIJからの寄付金(2施設各10,000ランド)による購入品の引き渡し式を行いました。日本との繋がりの深い両施設からは、日本人コミュニティからの貢献と変わらぬ友好につき、感謝の意が表明されました。

セント・フランシス・ケア・センター

引渡式

患者や子どもたちのためのテーブルと椅子のガーデンセットを購入したセント・フランシス・ケア・センターは、加賀美支店長を幼稚園生の歌で出迎えました。集まったケア・ワーカーや患者に対して加賀美支店長は、我々の共通の敵は貧困と病気であり、今この施設で最前線に立ってこの敵に立ち向かっているみなさんにお会いできて嬉しい、小規模ではあるが、今回のCCIJの貢献が、みなさんの貧困と病気に対する日々の闘いのお役にたつことを心から願っている、との挨拶を行いました。

センター概要

 セント・フランシス・ケア・センターは、セントフランシスコ教会のブレナン神父が、貧困層のHIV/AIDS患者を支援するために設立した施設です。センターには末期患者用のホスピスや患者用の病院、HIV/AIDS孤児のための保育園等があり、HIV/AIDS患者に対する偏見を克服するための正しい知識の普及や医療支援、職員のトレーニング等を行っています。HIV/AIDSは南ア社会にとって依然深刻な問題ですが、抗レトロウィルス薬(ARV薬)とその適切な利用法が導入されるにつれ、患者の生存率は向上しています。同センターでは、以前は一年に35名もの幼い命が失われていましたが、この2年間では亡くなった子どもはいないとのことです。

センターと日本の関わり

セント・フランシス・ケア・センターは日本との関わりも深く、様々な形で支援が行われてきました。センター建築の際は、海外法人宣教者活動援助後援会(JOMAS)からの支援があり、その繋がりにあやかって、センターの玄関には日本風の石灯籠が配置され、屋根には瓦が使われています。CCIJからの寄付や大使館からの支援もありますが、中でも、セント・フランシス・ケア・センターで南アフリカ人と共に生活し、支援を行った日本人の存在は、センターの人々に深く、強く日本との友情を印象づけています。1991年から2005年までの約15年間、HIV/AIDS患者のために働き、2008年に逝去された根本昭雄神父は特に有名で、センターでは根本神父を記念したホールを建設しました。根本神父が患者一人一人の尊厳を尊重し、献身的に働いていたことを、センターのスタッフは今もよく覚えています。

また、現在の日本人コミュニティからも、ボランティアとしてセンターに貢献している方がいます。日本で看護師士の資格を持っている日下部明子さんは、そのスキルで南アでも何か貢献したいと、2008年11月からセンターに通いはじめました。また、日下部さんの活動を聞いた同じく看護師士の姫野美沙穂さんも、2009年4月から2010年3月までの約一年、センターを訪れるようになりました。お二人は患者一人一人と向き合い、足のマッサージをし、身の回りのお世話をして、少しでも快適にすごせるようにと心を配っていました。

オルランド・チルドレン・ホーム

引渡式

オルランド・チルドレン・ホームでは、今回のCCIJからの寄付金を、幼稚園児用の教育教材の購入や子供寮のカーテン、職員の事務作業必要備品等の購入に充てました。施設を訪れた加賀美支店長を、幼稚園生は南ア国歌で迎え、小学生の生徒がセンターを代表して、御礼の言葉を述べました。集まった職員の方々、子供達に対し、加賀美支店長はオルランド・チルドレン・ホームが設立以来数千人の孤児達の生活を守って来たことを称え、共通の敵である貧困と病気、そして無知に対して、毎日の生活という戦場で立ち向かっていかなければいけないこと、その闘いのために今回のCCIJの貢献を役立てて欲しい、旨の挨拶を行いました。加賀美支店長のスピーチをズールー語に訳して伝えたマジブコ院長からも、寄付とスピーチに対し感謝の言葉が述べられました。

センター概要

オルランド・チルドレン・ホームは、つぶれかけた孤児院を地域コミュニティが資金を集めて再建する形で、1940年に設立されました。それ以降、常に50人前後の子ども達の面倒を見てきており、2000年までで累計6,696人を世話し、2580件の養子縁組を支援しています。2代目となるマジブコ院長をはじめとしたスタッフは、常に子ども達の将来を考え、愛情をもって指導にあたっています。

センターと日本の関わり

オルランド・チルドレン・ホームには度々邦人が訪れており、中庭の壁には画家の比日野克彦氏が描いた絵が残っています。小泉元総理も厚生労働大臣時代に訪問し、子ども達にハーモニカをプレゼントしました。その後、同氏がWSSDに参加するため、総理として南アを訪問した際、成長した子ども達と再開し、ハーモニカの演奏を披露してもらったというエピソードがあります。この他、経団連が調理機材を寄贈したり、日本政府も1980年代にカギソ・トラストを通じて併設の保育園への支援を行っています。