
2009年6月14日から28日まで南アフリカにて行われたFIFA Confederations Cup(以下「コンフェデ杯」)をプレトリア及びヨハネスブルクのスタジアムで観戦した当館館員の記録を紹介致します。本観戦記録は、2010年のサッカー・ワールドカップが南アフリカにおいてどのように行われるのかをイメージするための参考情報のひとつとして提供するものであり、外務省、在南アフリカ大使館の公式見解ではありません(写真は当館館員が撮影したものです)。
プレトリアのロフタス・スタジアムは、プレトリアの中心部に位置しており、築80年以上の非常に長い歴史を持つスタジアムである。スタジアムへのアクセスは、スタジアムの近くに1か所設置された「パーク・アンド・ウォーク(Park & Walk)」と、2か所設置された「パーク・アンド・ライド(Park & Ride)」の2種類のアレンジとなっていた。
当館館員が利用したのは、大使館近くに設置された「パーク・アンド・ライド」であり、駐車スペースは比較的広く、観戦した予選2試合共に問題なく利用することが出来た。場内には警察官が多数待機しており、交通整理を行っていたボランティアも自分の持ち場に責任をもって行動している印象を受け、混乱無く車両を誘導しており、問題は感じられなかった。
専用バスに乗り換えスタジアムへ向かうにあたっては、待機している大型バスの席が埋まると出発する。出発前に係員が帰路の説明を口頭でする。車内は暖房が効いており、快適であった。スタジアムまでは、バス数台を白バイが前後を挟んで移動。
スタジアム付近のバス停へ到着した後は、警察官及び誘導を行うボランティアが配備された道(一般の立ち入りは制限されている)を徒歩にてスタジアムへ向かう。バス停からスタジアム第1のセキュリティー・ゲートまでは約200m。第1のセキュリティー・ゲートではチケットチェック及び金属探知機によるチェックが行われた。
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バス停からスタジアムまでの道のり | ロフタスに配備されていた警官 |
第1のセキュリティー・ゲートを通過して約100m歩くと、飲食ブース、オフィシャル・ショップ、各スポンサーのブースがいくつか設置されており、試合開始までの時間を有意義に過ごせるようになっている。なお、試合開始までの間に停電(若しくは許容電力量オーバーによるもの)があったが、約1,2分で復旧した。
スタジアム内に入るには、第2のセキュリティー・ゲートを通る必要があった。第2ゲートでは、チケットの半券が切られる。なお、第1ゲートと第2ゲートの間に設置されていたブースで購入した飲み物の持ち込みは不可であった。また、チケットに印字された購入者名とID(又はパスポート)との照合は今回観戦した4試合(ヨハネスブルク含む)では一切されなかった。
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ロフタスの第2セキュリティー・ゲート | ロフタスのスタジアム内 |
観戦マナーは比較的良かったが、慣れていないせいかボールボーイの動きが若干鈍く感じた。ハーフタイムのトイレ渋滞は仕方ない。試合が終盤になると、帰路の渋滞を心配してか、観客の一部が試合途中にもかかわらず帰宅するのが目についた。
帰路は往路と同じ道を辿り降車したバス停まで移動。バス停付近の混雑は尋常ではなく、且つ2か所ある「パーク・アンド・ライド」へのバス停がほぼ同位置にあったため、警察官による誘導、ボランティアの案内もあったが、混乱が生じていたおり、バスに乗車出来たのは約1時間後であった。中には待ちきれず徒歩にて「パーク・アンド・ライド」へ向かう人も散見された。
ヨハネスブルクのエリスパーク・スタジアムは、ヨハネスブルクでも特に危険とされるヒルブロー地区の裏にあたり、注意が必要な場所である。エリスパーク・スタジアムへ行くためには、4か所設置されている「パーク・アンド・ライド」に車を停め、用意されているミニバス若しくはバスに乗車してスタジアムに向かうというアレンジとなっていた。
当館館員が使用したのは、ブルマ地区(中華街近辺)にある「パーク・アンド・ライド」であり、駐車スペースは広く、準決勝・決勝いずれの日も問題なく駐車が可能であった。「パーク・アンド・ライド」のゲートには警官が張り付いており、駐車場内は安全である。
スタジアムに向かうにあたっては、ヨハネスブルク市が準備したミニバス若しくはバスに乗車する必要がある。ミニバス及びバスは何台も待機しており、先頭のミニバス若しくはバスの席が埋まると出発する。乗車の際には、係員が「パーク・アンド・ライド」の案内を乗客に配布し、帰路の説明をする。「パーク・アンド・ライド」発のミニバス若しくはバスは、スタジアム周辺の指定されたバス停に向かう(所要時間約10分)。試合後は、同じバス停から乗車し、目的の「パーク・アンド・ライド」に戻る。バス停を間違えると、全く別の「パーク・アンド・ライド」に向かうこととなるため、目的の「パーク・アンド・ライド」に向かうか十分確認する必要がある。ちなみに、各「パーク・アンド・ライド」は色分けされ、ミニバス及びバスの前及び側面に該当の「パーク・アンド・ライド」の色で目的地が表示されている (「パーク・アンド・ライド」の案内用紙については写真参照)。
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「パーク・アンド・ライド」内に待機し ているミニバス(手前)と大型バス(左奥) |
ミニバスの側面に貼られた目的地の案内 |
「パーク・アンド・ライド」のミニバス若しくはバスで、スタジアム周辺のバス停に到着した後は、徒歩にてスタジアムに向かう。バス停からスタジアムまでの約500m程度の区間は、普通の住宅街ではあるが、警察が一般のアクセスを制限しており、警官がいたるところに立っているため、比較的安全である。
徒歩にてスタジアムに着くとセキュリティー・ゲートを通る。第1のセキュリティー・ゲートでは、金属探知機が設置されており、第2のセキュリティー・ゲートではチケットの半券が切られ、警官にバッグの中身を確認される。当館館員の場合には、ペットボトルの蓋と水筒の蓋が没収された。
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第1のセキュリティー・ゲートでのチェック | 第2のセキュリティー・ゲート |
2つのセキュリティー・ゲートを通るとスタジアム内に入れる。スタジアムの脇には、飲食が出来る場所、オフィシャル・ショップ、スポンサーのブースが何カ所も設置されており、試合開始まで時間を有意義に過ごせるようになっている(プレトリアのロフタス・スタジアムと異なり、2つのセキュリティー・ゲートを通るとスポンサーのブースが設置されていた)。
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各スポンサーのブース | スタジアム内の飲食店 |
準決勝及び決勝でも試合中のスタジアムの運営は卒なく行われた。決勝では、勢いあまった米国ファンがピッチ内に入り込もうとするハプニングがあったが、即座に警備に取り押さえられ、試合には影響は出なかった。
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エリスパーク・スタジアム内のファン | スタジアム内で取り押さえられたファン |
試合後、「パーク・アンド・ライド」に向かうバス停まで徒歩で向かう(道にはバス停の案内標識等がないため、バス停の場所を記憶しておく必要がある)。準決勝の帰りの際は、バス停までの道が人で溢れ、人混みの中を押されながら、バスに乗車するまでに1時間弱要した。バス停までの道のりが人で混雑しているため、将棋倒しやスリ等に特に注意する必要がある(混雑状況は、決勝の際には多少改善されていた)。「パーク・アンド・ライド」に到着してからプレトリアまでの道のりはスムーズに進んだ。
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決勝戦後の式典 | 話題となったブブゼラを吹くファン |
【参考】
ミニバス:南アフリカにおける主要な交通手段であり、ワゴン車のことを指す。一般的には、低所得者が使用する交通手段であり、コンフェデ杯等特別な機会を除いては、乗車には注意を要する。