
在留邦人の皆様へ
平成19年9月5日
日本大使館警備班
1 最近の事例(日本人被害を含む)
(1) 7月中プレトリアにおいて、3人の男のうち2人が警察官の制服を着用し、ブルー
ライトのついたパトカーのような車両で、ゲートに武装ガードが配置されている会社に乗り付け、ガードに対しゲートを開けるよう命じた。
その後、ガードに銃を突きつけて制圧し、現金、銃、所持品を奪って逃走した。その後この事件に使用された車両が乗り捨てられているのを発見された。(報道)
(2) 7月中サントンシティ付近において、一見警察官風の服装をした数人の男が検問を
装って停車を求め、これに応じたところ薬物取締りを口実に所持品の呈示を求めてきた。
被害者が財布ごと呈示し数十秒後に返されたので中を確認すると、紙幣が数枚抜かれていた。(日本人被害事案)
(3)8月中N1・センチュリオン付近において、警察官風の服装をした数人の男が検問を装い停車を求めてきた。
被害者が停車要求に応じて停車理由を尋ねると、質問には答えず「この場で支払いが可能であれば取り締まらない。」旨の説明があったこと、制服の肩付近のワッペンがないことから不審に思い、その場で日本大使館へ電話連絡した。
連絡を受けた大使館員に電話を代わったとたん立ち去るよう命じられた。(日本人関連事案)
2 偽警察官に対する注意点(過去の事例から)
(1) 偽のIDを携帯している。
本物のIDは縦約5cm×横約8cm、白色プラスチック製、表にカラー顔写真の
貼付と名前等の表示があり、裏面にポリスID番号と階級等の表示がある。
過去の事例では、顔写真がないID、上記の規格外のIDが使用されている。
(2) 停車理由、職務質問理由を明確にしない。
理由を明確にせずに所持品提示や車内検索を要求してくる。
過去の事例では、理由をはっきりさせないまま車両検索を開始し、たまたま拾っ
て車内に置いていたピンク色の石を見つけ「何かわからない石を所持しているのは違法である。」と因縁をつけられ、警察署に同行を求められた。
(3) IDをはっきり見せない状況を作る。
私服警察官が取締りや犯罪捜査の一環として職務質問をしてくる場合があり、通
常、制服警察官同様にIDの呈示に応じる。
過去の事例1:車両走行中に車が横に併走し、助手席の者がIDのような物を見せながらしぐさで停車を求め、停車後麻薬取締官である旨を告げた(後に偽の麻薬取締官と判明)。
過去の事例2:店補の前に立っていたところ、インド系の男がスーツ姿で素早くIDのような物を呈示して納め、「警察だがIDを見せなさい。」と要求してきた。この男に対し再度の呈示を求めたところ、いずれかへ逃走した。
3 今後の対策
(1) 停車・職務質問の理由を尋ねる。
- 正当な取締りや捜査と区別するため。
(2) 相手に対してIDの呈示を求め、警察署、氏名、階級、ID番号等を確認する。
- 偽の警察官であればこの段階で逃走する場合がある。
(3) 使用車両のナンバー、車体の所属表示等を控えておく。
- 情報収集と警察への通報のため。
ただし、偽の警察官が事件の発覚をおそれ他の犯罪に発展する可能性もあるので、あからさまには行わない。
(4) 不審点があれば、警察(10111)又は大使館へ連絡する。
- 別の警察官の派遣を求める。
- 大使館連絡の段階で逃走する場合がある。
(5) 車両走行中に停車を求められた場合は、極力人目につきやすい場所で停車する。
- 例:ガソリンスタンド、料金所等
(6) 所持品検査は本人の面前で行うよう要請する。
- 所持品の窃取を防ぐため。
(7) 車内検索には必ず立ち会う。
- 車内所持品の盗難を防ぐため。
- 因縁をつけるための不審な物を車内に置かれないため。
4 その他
過去の事例のみにとらわれることなく、偽の警察官による新たな手口に対する注意も必要である。
例:警察官を装っての自宅、事業所、滞在先等への来訪
例:令状らしき書類所持の偽警察官